N高等学校の学校説明会に行ってきた
やなけん(@yanaken8787)です。
息子はまだ中学一年生ですが、この一年間の勉強に対する姿勢を見ていると不安になります。
そんな悩みがここ最近のテーマでした。
嫁さんが、学校法人角川ドワンゴが運営するN高等学校の紹介をニュースで見たらしく、資料を取り寄せたついでに学校説明会を申し込んで行ってきました。
新しい教育の形として非常に可能性を感じましたので、ともに検討されている親御さんの参考になればと思います。
N高等学校とは?
KADOKAWAとドワンゴが2014年に経営統合し、その2年後の2016年に誕生したのが学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校です。
設立初年度は1,462名の生徒が在籍していましたが、現在は7,800名以上が在籍。
2019年度は約3,000名が出願しているとの事で、メディアでの紹介などが功を奏して生徒数が伸びている印象ですね。
ちなみに、文部科学省が2017年に発表した「高等学校通信教育に関する調査結果について(概要)【速報値】」によると、通信制を設置している高等学校は全国で241校あり、そのうち3,000人以上の在籍生徒数がいる学校は10校だそうです。
2019年は1万人を超える生徒数となりますので、通信制を設置している高等学校の中ではマンモス校に分類されます。
教育方針
N高等学校の教育方針は下記3つ。
- 教養:自分なりの考えをもつための知識
- 思考力:知識を使って考える力
- 実践力:考えを行動に移す力
生徒と教職員の行動規範である「N STANDARDS」という12項目からなる具体化した行動を意識することを心がけているそうです。
- 主体性:自ら考え、主体性を持って行動します。
- 挑戦:失敗を恐れず多くのことにチャレンジします。
- 柔軟性:変化にすばやく順応します。
- 向上心:自分で限界を作らず、向上心を持って目標を設定します。
- 寛容さ:人間の多様性を認め、他者を尊重します。
- 素直さ:他者の意見を謙虚に受け止め、まっすぐな心で様々な考えを吸収し、成長を続けます。
- 挨拶:誰に対しても、しっかりとした挨拶を行います。
- 心身:身体と心が資本であることを理解し、健康的な生活を心がけます。
- 継続力:夢の実現や目標達成のために必要な習慣を着実に実行し続けます。
- 協働:人と助け合い、協力することでより大きな目標を達成することができます。
- 感謝:自分を支えてくれる全ての方へ感謝の気持ちを持ち、その想いを伝えます。
- 貫徹:目標を達成するために、最後までやり抜きます。
ちょっと量が多いかな…と思いますが、生徒と教職員が同じ志を目指すことで共通言語となり、N高等学校が目指す教育が実現していくのではと感じています。
目指すゴール
N高等学校が目指すゴールは下記3つ。
- 自分を動かす原動力を見つける
- 自分の居場所と生涯の友人を作る
- ネット時代を生き抜く力を身につける
通信課程では通学時間がないため、時間を有効活用できます。高校卒業を目的とするのではなく、自分の個性をみつけ、その後の生きる道を確立する。そして、学校のみんながそれぞれを認め、自分の居場所を作る。
問題があり一つの正解を素早く正確に出す(ジグソーパズル型)教育から、問題を発見して複数の解決策を見出しもっとも良い回答を試す(レゴブロック型)の教育を行うことで、社会に通用する生き抜く力を身に着けさせようとしている事が伺えます。
本校があるのは沖縄県うるま市の伊計島
N高等学校の本校は、沖縄県うるま市の伊計島にあります。
廃校となった学校を借り上げて本校としており、当然願書等はこちらの本校へ送付します。スクーリングも希望すればこちらで行います。綺麗な校舎ですよね。
本校以外にも全国にキャンパスが設置されており、2019年度からは5キャンパス増えて、全国で13キャンパスで運営しています。
東京(代々木、御茶ノ水、立川)、大阪(心斎橋、江坂)、横浜、大宮、千葉(千葉、柏)、名古屋、福岡、仙台、京都
写真は横浜キャンパスの一角。半田ごてなどの道具や、プログラミングの書籍なども用意されています。
伊計島に本校を設置する際の苦労話などは、「ネットの高校、はじめました。 新設校「N高」の教育革命」を読むと詳しく書いてあります。N高等学校を作る際の想いなども併せて理解できるのでおすすめです。
授業は大きく分けて2種類
高校卒業資格を得るのに必要な、ベーシックプログラム
一回5分~15分の授業を一日1時間~1時間半ほど、映像授業を行って受講します。正解すると次に進める仕組みになっているそうです。
マイページへログインして、毎月15日までにレポートを提出します。
このレポートを提出していないと先生からフォローの電話がかかってくるそうです。通信制でも地域ごとにクラス分けされるそうですが、クラスメイト同士でレポート提出を促進する動きがあったりもするそうです。
公立の通信制では、在籍生徒の内一年間で一科目も履修しない生徒が40%弱いるそうですが、N高等学校ではかなりきめ細かくサポートしている事が伺えます。
ベーシックプログラムではスクーリングが年間5日間義務付けられています。
全国のキャンパスでスクーリング可能ですが、個人的にはお財布が許せるなら本校でのスクーリングに参加させるのが良いなと感じました。本校のスクーリングに参加する場合、那覇空港集合だそうです(笑)
このベーシックプログラムは、全国のキャンパスに通う通学コースでも同様に行います。
N高等学校の特色である、アドバンスドプログラム
アドバンスドプログラムは、ベーシックプログラム以外の任意で受講する選択授業です。
話を聞いていて、最近の子は羨ましいな…自分が高校生の頃にあったら絶対にやりたかった…と思える内容でした。
- 有名予備校講師によるライブ授業での大学受験対策
- ドワンゴの現役プログラマが教えるプログラミング授業
- ドワンゴメディアヴィレッジによるAI(人工知能)などの授業
- 現役Webデザイナーによる、Webデザイン授業
- KADOKAWAから作品を出版する作家や編集者による文芸創作授業
- 大塚英志氏による、ものがたり創作授業
- 電撃レーベル作家による、エンタテイメント授業
- Vantanの現役プロ講師による、クリエイティブ授業
- 40mP氏による、ボーカロ・DTM授業
- 実力派講師による、中学復習授業
- 企業・自治体・NPO法人などによる、職業体験授業
- 海外大学国際教育プログラム
公式ページに記載のある内容だけでも、これだけのものを学べる環境が揃っているのは正直すごいなぁと思います。
N高等学校生は、Adobe Creative Cloudが無料で使用できるそうで、Photoshop、Illustrator、Premiere Pro、After Effects、Adobe XDなどが使えます。
若いうちからこのようなプロの現場で使用しているクリエイターソフトを使いこなしていると、色々なことにチャレンジできますね。すごいなぁ。
ネットの高校でもコミュニケーションを大切に
通信制の高校というと、基本的には一人で勉強して同級生はいない…なんて想像するのだけど、N高等学校はそうじゃない。
IT企業でよく使われている、Slackを使用してコミュニケーションを図っています。
このSlackを使い慣れておくということと、トラブル時に学校側で管理ができるので選定したそうです。
Slack上で地域ごとのクラス分けを行い、自由参加ではあるけどホームルームなども行うそうです。
各チャンネル(クラスや部活、ゲーム、絵かき)ごとに、人が集まり、コミュニケーションを取ることで学校生活の《仲間》を作ります。
実際にSlack上でやりとりして仲良くなった後に、スクーリング等で会ってから現実の友人関係になったりと、問題なく機能しているようです。
確かに、昔NIFTY Serveなどの掲示板で知り合った人達とは20年経過した今でもリアルで付き合いありますので、同じだな…と思いました。
もちろん、生徒間のトラブルはネット同様にあるそうで、現在はniconicoなどでカスタマー対応をしていた責任者を招聘し、ネットコミュニティ開発部を設置。
ネットコミュニティ開発部がきめ細やかな運用を行い守られた環境で、生徒同士が声を掛け合いネットのコミュニケーションを学ぶ機会を創出しています。
学習に対する親の心配、将来の進路への心配
ベーシックプログラムの説明でも触れたとおり、授業は映像授業を用いて行い、レポートを提出する事で単位認定へと繋がります。
全ての子供が、自分を律して意欲的に取り組める子ばかりではありません。
特にウチの息子は勉強が嫌いで、集中力が無いため、すぐに違うことに目が向いてしまいます。
学習に対するモチベーション維持への取組みを現在積極的に行っているそうです。
5月6月に、Slack上のホームルームなどで担任の先生からクラス全員がレポート提出を褒めたりする取り組みを行うことで、レポート提出率が飛躍的に向上。生徒がお互いに声を掛け合いながら能動的に受講を進める雰囲気が醸成されてきているそうです。
大学へ進学したい生徒に対しては、ネット特進専攻や、指定校推薦の拡充などへ取り組んでいるそうです。
就職や専門学校への進学を希望する生徒に対しても、Slackで進捗管理したりアシスタントコーチ(現役大学生)によるグループ面談など様々な取り組みを行っています。
通学コース
もし子供が在籍するなら、個人的には通学コースがいいなぁと思いました。
キャンパスは2019年度は全国13ヶ所。
ネットコースからの変更も可能。試験はありますが、3ヶ月ごとに編入が可能です。
「教員は生徒の夢の発見と実現に全力を注ぐ」
上記方針のもと、コーチングの手法を取り入れ、生徒一人ひとりが目標設定を行い、小さい目標を達成し、ルーティン化していきます。
この学びコーチングが非常に魅力的に感じました。
生徒に目標を達成するには何が必要なのか? を気づかせ、行動を支援する事で夢の実現へ後押しをしてくれます。
通学コースの最大の魅力と言ってもよいでしょう。
また、現役大学生のティーチング・アシスタント(TA)が在籍し、生徒自ら相談できる環境があります。
毎月1回、一人ひとりを面談
説明会では、「人生の目標をともに見つける」というフレーズを使っていましたが、マンツーマンで毎月1回一時間面談があります。
自分の好きを切り口に長期目標設定シートを作成し、小さな目標を繰り返し達成する事で、より大きな目標や夢に近づけていきます。
この、自分の好きを切り口にする事で、取り組み姿勢や生活態度など、問題発見から改善、必要なものの習得に結びつけていきます。
一緒に考えながら自己分析を行い、生徒一人ひとりにあった目標を一緒に考えて行く取り組みを行っているそうです。
さいごに
最初に興味を持つきっかけとなったのは、N高等学校がニュースで取り上げられたのと、「うちの子、高校もしかして難しいかも?」と感じたことが始まりです。
コーチングを取り入れた指導により、子供自身が自ら目標設定を行い、その目標を達成するための過程・手法を見出し、実際に実行していく。
簡単なようで非常に難しい事です。
家庭内で同様の指導ができれば良いのですが、教育の場でこのような指導をしてもらえるのであれば、早い段階から通わせて、生きる力を身につけて欲しい…と考えています。
息子も「N高に行きたい」と言い始めていますので、こちらに賭けてみよう…と夫婦で話しています。
N/S高等学校へ入学して8ヶ月。親の視点で見た学校と子供の変化
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